Laboratory of Landscape

村上修一研究室

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住宅密集地域における小さな防災公園の基本構想

住民の高齢化,空洞化の進む中心市街地。道路が狭く,緊急車両の進入もままならない。そのような地域に防災拠点として新設されることとなった街区公園の基本構想の策定を行った。

いざという時に,防災公園として十分に活用されるよう,日ごろから地域の方々に親しまれるようにしなければならない。構想や計画の段階から,住民の方々と一緒に考えていく必要がある。そこで,まずアンケート調査によって住民の方々の思いを把握した。その上で,住民の方々への構想案の提示,意見の収集,構想案への意見の反映というサイクルを3段階実施し,基本構想を策定した。なお,この策定方法を考案するにあたり,地域協働による環境教育施設の計画事例(eコラボつるがしま)を参考にした。



アンケート調査や現地調査の結果をふまえ,防災公園の計画・設計・管理運営ガイドラインや,熊本地震時の公園利用実態調査の結果を参考に,第1段階模型を12案(A~L案)制作した。意見交換会でプレゼンテーションを行い,参加者による模型案への投票を行った。投票は,模型案の絞込みのためではなく,票の偏りやばらつき具合と,各案に出された意見より,重要と思われる空間の機能や形態を抽出し,次段階の模型に活かすために行った。当日参加できなかった方々の意見も収集できるよう,各自治会に資料を配付し投票頂いた。



第1回意見交換会の結果,および後日の投票結果をふまえ,公園の第2段階模型を3案制作した。意見交換会でプレゼンテーションを行い,参加者による模型案への付箋コメント付投票を行って,更なる意見収集を行った。



第2回意見交換会の結果をふまえ,公園の第3段階模型を1案制作した。意見交換会でプレゼンテーションを行い,参加者より更なる意見収集を行った。第3回意見交換会の結果をふまえ,基本構想案をまとめた。

この公園が,日頃から親しまれる空間として地域に根付くように,設計や施工の段階から供用開始後に至るまで,地元との良好な関係を保つことのできるよう,肌理の細かな配慮が必要である。設計や施工の段階や,供用開始後における留意点についても提案を行った。


左:熊本地震における都市公園利用実態の聞き取り調査の様子
右:熊本地震の際に避難所として活用された街区公園と集会施設(泉が丘公園)

本提案は,研究室として,平成28年熊本地震における都市公園利用実態調査に関わった経験にもとづいている。平成28年熊本地震の際,熊本市内の街区公園は,一時的な避難場所としてだけではなく,車中泊やテント泊といった一定期間の避難場所,炊き出しの場,水や救援物資の配給所,トイレの設置場所,情報の収集や発信の拠点,災害ボランティアの拠点など,様々に活用され,避難者で一杯となった小学校等の避難所を補完する役割を担った。本公園も同様の役割を果たすことが期待される。ただし,公園や諸施設の使い方が十分に理解され,日頃から使いこなされる必要がある。そのための取り組みとして,国土交通省国土技術政策総合研究所が制作した「身近な公園防災使いこなしBOOK」を援用し,使いこなしワークショップを自治会等で行うことが考えられる。

参考:
国土交通省 国土技術政策総合研究所ホームページ:防災公園の計画・設計・管理運営ガイドライン(改訂第2版)
日本造園学会 熊本地震復興支援調査委員会ホームページ:熊本地震 都市公園 利用実態 共同調査 報告書
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